清美さんはどうしているか・・・

銀杏並木が見ごろを迎えるころだと思って出かけた。が、見ごろは過ぎていた。
同じマンションに住む清美さんは転勤してきた私を
この銀杏並木の散歩に誘ってくれたのだった。
もう35年も前になる。
彼女は35歳で私が30歳。
彼女は脳しゅようの手術を何回か受けて少し身体に後遺症があった。
弟さんは障がい者でご両親は世間の迷惑にならないように
遠慮して生きていたこと。
それなのに自分も身体が不自由になったこと。
ご両親は彼女と弟の行く末を心配しながら早く亡くなったこと等
話してくれた。
そういう不幸話を聞かせたいために誘ったんじゃなくて
彼女がこういう弱い立場の環境から学んだことを教えてくれた。
利用されたり、うわべだけの言葉をかけられたりして、、、
人は口がウマい。要領のいいのはいっぱいいる。
なので いいよ いいよで済ませていたら損するから気をつけるようにと言うのだ。
神様なんていない、人を信じてはいけない。
自分で自分を守らなきゃ。
そんな話をしてくれた。
彼女は段々不自由になり施設に入った。
「人間はきれいな生き物ではない」
私は彼女の教えを忘れていない。いつも頭の中にはある。
そして とても役に立っている

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